Houshoku [Satiation] - ( 飽食 )
Romaji
鼻をくすぐった君の匂いは シンナーみたいだ
身体の内側から 私を溶かしてしまった
憂鬱なんて忘れて 靴をゆっくりと揃えた
何一つ怖くなかった
肺を膨らまして思い出した あの日の気分を
ささやかな幸福が惰性で続いていくのも
悪くはないと思ったのに
遮断機が下りて
内側から見える世界はただ美しかった
気が付けば春は輝きを失ってた
運ばれては再生産していく
誰もいない新宿へ 各停の無名駅通り過ぎてく
私を連れ去って
どんな生き方があったっていいと思った
たとえは浮かばないけれど
肺が空になって吐き気がした
かつての幸福感は無かった
程遠い気だるさを纏った
穏やかに揺れる 昼下がりに
君の服を着て出掛けた 朝食も取らずに
気が付けば春は輝きを失ってた
黒い蝶と目が合う
スウェットのロゴによく似ていた
生まれ変わったなら
気が付けば春は輝きを失ってた
運ばれては再生産していく
誰もいない新宿へ
繰り返すことにもう価値はないから
私を連れ去って
どんな生き方があったっていいと思った
人の数だけ幸せがあるなら
鼻をくすぐった君の匂いがまだ残るうちは
何もいらない